映画『タイタニック』は、豪華客船の悲劇を壮大なラブストーリーとして描いた名作ですが、どこまでが実話なのか気になる人も多いはず。本記事では、史実と映画の違い、実在した人物、引き上げができない理由まで詳しく解説します。
タイタニックはどこまで実話?
1997年に公開された映画タイタニックは実話を基に制作されています。実際の事件を題材にした点では『雪山の絆』など他の実話映画と同様に、史実に沿った描写も多く盛り込まれていますが、どこまで実話通りなのか詳しくご紹介していきます。
タイタニック沈没の実際の事件
1912年4月10日、タイタニック号は処女航海としてイギリス・サウサンプトンを出発し、フランスやアイルランドに寄港後、ニューヨークを目指しました。当時世界最大の豪華客船で「沈まない船」と称されましたが、航海2日目の4月14日夜に氷山に衝突。
約2時間40分後に沈没し、乗客・乗員のうち1,500人以上が犠牲となり、711人が生還します。当時として史上最悪の海難事故となりました。
映画と実際の事件との違い
映画『タイタニック』と実際に起きたタイタニック沈没事故の違い、タイタニックは実話をどこまで忠実に表現しているかを検証していきます。
| 実際の事故 | 映画「タイタニック」 | |
| 時期 | 1912年4月14日〜15日朝 | 1912年4月14日〜15日朝 |
| 事故原因 | 氷山との衝突 | 氷山との衝突 |
| 被害規模 | 死者数:1,517人 | 被害者数:約1,500人 |
| 生存者 | 711人 | 約706人 |
| 事故が 起きた原因 | 【原因は船長】 6つの氷山の警告を無視高速で航海を進める方位計や速度測定の誤差が見つかるなど、正確な航海が保証できない状態だった | 【原因は船長】 度重なる警告をよくあることとして無視 |
被害を大きくした原因
タイタニック号は、高度な安全対策がとられ絶対に沈没しないとして「不沈船」とも呼ばれていました。しかし、実際は景観を重視する会社の方針により、安全対策がしっかりとなされていたというのは嘘でした。
景観重視①飾りでしかない煙突
巨大客船の象徴である4本の煙突のうち、実際に機能していたのは3本だけで、残りの1本は外観を引き立てるための装飾として設けられていました。性能以上に見た目の豪華さを演出する狙いがありました。
景観重視②全員分がない救命ボート
本来68隻の救命ボートが搭載される予定でしたが、デッキの見た目を優先してわずか20隻に減らされていました。そのため全乗客を収容することは最初から無理な話でした。
さらに、事前にスタッフによる避難訓練が行われなかったため、船員が救命ボートに乗れる人数を把握しておらず、定員65名に満たない28名の状態で船を出し救出できない人が多数いました。
キャスト
映画タイタニックのキャメロン監督は、沈没事故を忠実に再現した映画を当初考えて作る予定だったので、船長や社長など実在の人物などが登場する作品に仕上がっています。そのほかにもキャストの中には、映画タイタニックは実話に忠実に実在の人物を登場させていますのでご紹介していきます。
ジャックとローズ
映画『タイタニック』を象徴するカップルであるジャックとローズは、実在の人物ではなく物語上の創作です。監督は沈没事故を調べる中で船内の厳しい階級差に着目し、その対比を物語に反映させるため身分違いの恋を構想しました。2人を中心とするドラマはフィクションですが、ローズは実在の芸術家ベアトリス・ウッドをイメージしたと監督がお話しされています。
抱き合い亡くなる老夫婦
映画に描かれる、寄り添ったまま最期を迎える老夫婦のモデルとなったのは、実在の夫妻イジドーとアイダです。彼らはファーストクラスの乗客でしたが、イジドーは女性と子どもの避難を最優先にし、自らボートに乗ることを拒みました。
アイダは一度ボートに乗りながら、夫を残せないと戻り、2人は腕を抱き寄せたまま船と運命を共にしました。その後、イジドーの遺体だけが確認され、ポケットから家族の写真を納めたロケットが見つかったと伝えられています。
命懸けの演奏を続けた音楽家
タイタニック号で最後まで音楽を奏で続けたバンドを率いたのが、バイオリニストのウォレス・ハートリーです。混乱する乗客を落ち着かせるため、彼と仲間の8名は沈没の瞬間まで演奏を続けたと伝えられています。
彼の遺体にはバイオリンが縛り付けられていましたが、そのバイオリンは婚約者からの贈り物だったそうです。現在は、母親の手元に戻ったそうです。
救出の指揮を取る女性
映画『タイタニック』には、実際に救助活動で中心的役割を果たした女性がいます。その女性は実在する女性でマーガレット・ブラウン。「不沈のモリー・ブラウン」と称された彼女は、女性の社会的地位向上に尽力した女性でした。
混乱する現場で男性以上に迅速に判断を下し、乗客の救助活動を指揮しました。さらに救命ボートの乗員へ指示を出し、生存者を捜すために戻るよう求めたことでも知られています。
生死不明の船長
エドワード・ジョン・スミス船長ですが、実際は痛いが引き上げられていません。映画では沈没直前に操縦室に入り亡くなっていますが、実際は遺体も確認されておりませんので、陰謀論のように生存説も出ています。しかし、研究者たちによるとやはり映画同様、エドワード・ジョン・スミス船長が操縦室で亡くなっているのが有力とされています。
強い非難を受け続けた社長
タイタニック号を運航していたホワイト・スター・ライン社のトップ、ブルース・イズメイは実在の経営者であり、惨事の生存者でもあります。沈没時、まだ多くの乗客が取り残されていたにもかかわらず、空席のある救命ボートに乗り込んで脱出したことが世論の厳しい批判を招きました。
さらに、航海中のスピード維持や過密な運航計画を後押ししたと指摘され、その判断が事故を助長したのではないかという議論が帰国後に広まりました。強い避難を受けましたが、法的に罪を問われることはなかったそうです。
引き上げられない理由
タイタニック号は1985年に発見されて以来、水深約3,800mの極めて過酷な環境に沈み続けています。船体は金属を分解する微生物や潮の流れの影響で急速に劣化しており、触れれば崩れかねないほど脆くなっています。さらに、この巨大な船を原形を保ったまま引き揚げる技術は今なお存在せず、仮に実施できても莫大な費用がかかります。多くの犠牲者の遺品や遺骨が残る場所であることから倫理面の配慮も重視され、国際的には保存と記録を優先する姿勢が採られています。
まとめ
映画タイタニックは実話を忠実に再現しつつ、架空の恋物語を組み合わせた作品です。実際の事故の背景や実在人物の描写、引き上げられない理由まで理解すると、映画はより深く味わえます。
歴史的背景を意識しながら、今も輝きを失わない名作を新たな視点で楽しんでみましょう。

